学会・研究会の参加報告

第523回岩手整形外科災害外科懇談会

岩手医科大学 整形外科 菅原 敦原稿作成日:2021年1月18日

2021年1月16日に盛岡グランドホテルで開催された第523回岩手整形外科災害外科懇談会に参加いたしました。本会は首都圏を中心とした緊急事態宣言が発令された中での開催となり、講師の先生方が来県できないことからWeb開催となりましたが、多数の先生方の出席を頂きました。
今回は、東邦大学医学部整形外科教授の高橋寛先生と京都府立医科大学運動器機能再生外科学教授の高橋謙治先生に特別講演をして頂きました。
高橋寛先生は「脊椎骨粗鬆症に対する薬物療法と手術療法」と題して、骨粗鬆症薬の適応や成人脊柱変形の手術加療に対する術前からの薬物療法の必要性、また今後の骨粗鬆症治療の課題についてお話し頂きました。近年、骨粗鬆症治療薬の改善が目覚ましいものの、その適応選択の重要性やコロナによる受診控えによって起こりうるデメリットなど、タイムリーな話題をいただきました。

高橋 寛教授
会場の様子

高橋謙治先生は「MRIを用いた変形性膝関節症の病変解析と治療評価」と題して、変形性膝関節症の評価、病態研究、進行予測、治療評価についてお話し頂きました。早期軟骨変性を評価しうるT2マッピング法やT1ρマッピング法、エコーを用いた半月板逸脱評価、また進行予防のためのエクササイズなど、最新の知見を交えながらお示し頂きました。
Web開催ではありましたが多数の質問が寄せられ、活発な談論会となりました。各先生方へ心より深謝申し上げます。

高橋謙治教授
菅原 敦助教

第522回岩手整形外科災害外科懇談会

岩手医科大学 整形外科 千葉佑介原稿作成日:2020年12月1日

2020/11/14 (土) に盛岡グランドホテルで開催された第522回岩手整形外科災害外科懇談会に参加致しました。今回は、杏林大学教授の細金直文先生と慶應義塾大学教授の中村雅也先生に特別講演をしていただきました。
細金先生には、成人脊柱変形の治療戦略についてご講演をいただきました。成人脊柱変形治療は現在脊椎脊髄領域におけるホットトピックの1つであり、我々岩手医科大学整形外科としても積極的に治療に取り組んでいる分野です。脊柱変形の基本的な内容から具体的な手術方法まで詳細な報告をいただきました。現在、当科では成人脊柱変形の手術に対して、側方進入腰椎椎体間固定術(lateral inter body fusion : LIF)を併用した矯正固定術を行っていますが、細金先生の様々な知見に裏付けされたご講演を伺い、矢状面アライメントの矯正や低侵襲性等、LIFの有効性を再確認しました。

会場の様子
細金直文教授

中村先生には、超高齢社会における運動器疾患の治療戦略ー疼痛と麻痺の克服による健康寿命延伸ーという内容でご講演いただきました。基礎と臨床との相互のリサーチクエスチョンを明確にしていく姿に感銘を受けました。頚椎の靭帯骨化に関しては、MRIにおける脊柱管占拠率と分類によって手術適応を普段から検討しているものの、明確な基準はありませんでしたが、中村先生の詳細な検討によりおおよそのcut off値をお示しいただきました。さらにMRIでtract fiberの確認が手術適応の非常に有効な判断材料になるようで、今後の診療でも取り入れたい新たな知見でした。また、再生医療に関する内容もご講演いただきました。現在COVID-19流行の影響で治験が滞っているようですが、近日中に脊髄損傷後の患者に対する治験が開始されるとのことです。今後の整形外科治療のブレイクスルーになる可能性を秘めており、非常に結果を期待しています。
今回の講演で得られた知識を今後の診療や研究で活かしたい思います。

会場の様子
中村雅也教授

第521回岩手整形外科災害外科懇談会

岩手医科大学 整形外科 大矢康貴原稿作成日:2020年10月5日

2020/10/03(土)に盛岡グランドホテルにて、順天堂大学・石島旨章教授、熊本大学・宮本健史教授をお招きして、第521回岩手整形災害外科懇談会が開催されました。特別講演Iでは順天堂大学・石島旨章教授より「ロコモ原因疾患としての骨粗鬆症と変形性膝関節症-共通点と相違点から原因と治療を考える-」という表題でご講演いただきました。平均寿命が男女とも80歳を超えた我が国において、運動器疾患が要支援・要介護の原因の約1/4を占めるといわれ、運動器疾患への予防の重要性は近年さらに認識されています。骨粗鬆症と変形性膝関節症との関係、変形性膝関節症の発生機序や治療法の検討に関して最新の知見を交えてお話しいただきました。

石島旨章教授
土井田稔教授

特別講演IIでは熊本大学・宮本健史教授より「高齢者における運動器疾患治療」という表題でご講演いただきました。腰部脊柱管狭窄症の原因となる黄色靭帯の肥厚と糖尿病の関連性、骨粗鬆症の原因となるエストロゲンをはじめとしたホルモン変化と破骨細胞活性のメカニズムや、それに関連した産婦人科との共同研究など多岐にわたる先生の研究結果に関して最新の知見を交えてお話しいただきました。講演後は、多くの質問が寄せられ、活発な談論会となりました。石島旨章教授、宮本健史教授に心より感謝申し上げます。

村上秀樹特任教授
宮本健史教授

第520回岩手整形災害外科懇談会

岩手医科大学 整形外科 大竹伸平原稿作成日:2020年9月17日

令和2年9月5日、ホテルメトロポリタン NEW WINGにて第520回岩手整形災害外科懇談会が開催されました。COVID-19の影響で令和2年2月以来の懇談会となりましたが、遠方より講師の先生方に来盛いただき、参加人数の制限やマスクの着用、来場者の検温実施や情報交換会の中止など感染拡大防止策に十分注意しての開催となりました。
特別公演Ⅰは静岡県から三宅整形外科医院、三宅信昌先生より「費用対効果からみた医療行為の価値~Value Based Medicine~」のご講演をいただきました。三宅先生は日本臨床整形外科学会や日本リウマチ学会で長年社会保険委員を勤められたご経験から、診療報酬点数や医療経済についてお話し頂き、医療費の有効利用をすべきであり、労働損失の削減につなげる事が大事であると総括されました。

三宅信昌院長
会場の様子

特別公演Ⅱは東京大学整形外科学講座主任教授、田中栄先生より「関節リウマチにおける骨脆弱性と骨破壊対策」のご講演をいただきました。田中先生は多数のデータをお示し頂き、RA治療は生物学的製剤やJAK阻害剤の登場で劇的に改善し、ステロイド使用率も減少している一方で、高齢化の進む我が国で高齢発症RAや若年発症して高齢に至ったRA患者がRA患者全体の3割近く占め、大関節の手術は減少しているものの、足趾の手術とともに骨粗鬆症による骨折は減少していない事、RA骨粗鬆症の対策・治療についてご講演頂きました。
コロナウイルスによる未曾有の災禍の中、遠方よりお越し頂き、ご講演下さいました先生方、また感染拡大防止に留意頂きながらご参加下さいました皆様に感謝申し上げます。

田中栄教授
大竹伸平助教