学会・研究会の参加報告

第19回いわて運動器スポーツ傷害研究会/第538回岩手整形災害外科懇談会

佐藤整形外科クリニック 佐藤正義(当番世話人)原稿作成日 2022年11月22日

2022年11月19日にマリオス18階会議室180・181にて第19回いわて運動器スポーツ傷害研究会/第538回岩手整形災害外科懇談会が開催されました。コロナウイルス感染症:第8波に突入した状況下にもかかわらず40名以上の多数の先生方のご参加がありました。
講演Ⅰでは、岩手県立中央病院整形外科の藤澤博一先生に「当科での手術の現状と膝関節スポーツ損傷の治療」として近年における県立中央病院の手術を中心とした治療の現状と課題点などご講演いただきました。キネマティックTKAなど理想的手術の実現の話やACLの再建手術の術式選択についての見解などご自身の症例を挙げてわかりやすくご説明いただきました。
講演Ⅱでは、奈良県立医科大学の田中康仁教授に「足関節捻挫の診断・治療の問題点と将来展望」として手術動画などを中心にご講演いただきました。トピックスとして足関節捻挫は内返し捻挫ではなく回外捻挫となることが2022年4月から決定したことや足関節捻挫に対して保存治療と手術治療の比較、現在までの治療法の歴史(現在はエコー下など低侵襲手術も施行されるようです。)など大変興味深いお話を拝聴できました。
ご講演いただきました藤澤先生、田中先生、座長の土井田教授、ご出席いただきました先生方、また共催いただきました久光製薬様におかれましても大変感謝申し上げます。今後も運動器スポーツ傷害の治療における発展にご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

藤澤博一先生
佐藤正義先生
田中康仁先生
質疑応答の様子

第32回雫石夏季セミナー

岩手医科大学整形外科 及川龍之介原稿作成日 2022年10月5日

令和4年8月20日〜21日に第32回雫石夏季セミナーが開催されました。コロナの影響により昨年同様、雫石セミナーとはいうものの盛岡の岩手教育会館において行われました。
初日は岩手医科大学膠原病・アレルギー内科教授の仲哲治先生、富山大学医学部整形外科教授の川口善治先生、東京医科大学整形外科教授の西田淳先生、那須中央病院院長の吉川一郎先生の4名の先生に御講演をしていただきました。仲先生には「JAK阻害剤の安全性と評価マーカーについて」と題してJAK/STATシグナル伝達と免疫制御、JAK阻害剤の特徴、長期安全性、評価方法について詳しくお話しいただきました。川口先生には「脊柱靱帯骨化症-明らかにしてきた知見と今後のアプローチ-」と題し脊椎靱帯骨化症の原因と病因、手術アプローチなどについて解説していただきました。凱旋講演となる西田先生からは「骨盤帯腫瘍切除後の再建」として骨盤周囲の各部位における、切除、人工関節、生物学的再建それぞれの手術例をご提示して頂きました。適切な切除縁と荷重に耐えることが大事ということを念頭にした骨腫瘍ならではという手術の数々に驚かされました。吉川先生から「知っておきたい小児整形外科診療のあれこれ」と題し、発育性股関節形成不全、足部変形、側弯症などについて分かりやすく説明して頂きました。二日目は、土井田教授から医師の働き方についてのお話しの後、主に若い先生へのレクチャーとして、小野寺智彦先生から人工骨頭置換を中心とした股関節手術のアプローチと使用機種の選択について、田島吾郎先生から半月板の解剖と機能、半月板損傷の病態と治療について、大竹伸平先生から関節リウマチの診断と治療について、佐藤光太朗先生から手指骨折の手術治療について、それぞれお話しを頂きました。若手ではなくても大変勉強になりました。私はハンズオンセミナーを担当させて頂き、関節鏡と模擬膝を用い、all-insideデバイスとinside-out法による半月板縫合の実技が行われました。初めて実際のall-insideデバイスを使った若い先生も多く、良い機会になったと思います。大変有意義なセミナーとなりましたが、入局したての先生だけでなく整形外科志望の初期研修医にも多数来て頂いたため、懇親会を行えないことが残念で来年に期待したいところです。
コロナウイルスが未だ落ち着かない中、遠方よりお越し頂き御講演頂いた演者の先生方、参加して頂いた先生方、またハンズオンセミナーで惜しみなくご協力頂いたStryker社の方々にそれぞれ感謝を申し上げます。

仲哲治先生
川口善治先生
西田淳先生
吉川一郎先生
ハンズオンセミナーの様子1
ハンズオンセミナーの様子2

第536回岩手整形災害外科懇談会に参加して

岩手医科大学整形外科 山部大輔原稿作成日 2022年8月9日

去る令和4年7月30日に盛岡グランドホテルにて、第536回岩手整形災害外科懇談会が開催されました。
本会においては、まず私の方から米国Emory大学への留学に関してご報告させていただきました。Emory大学での貴重な経験や、海外生活での体験談をご紹介させていただきました。研究内容に関しても、一部ではありますがデータを提示させていただきました。今後当講座において海外留学を目指す若い医師への起爆剤になってくれたらと考えております。また、この場を借りて留学をご許可いただいた土井田教授、村上教授に改めて御礼申し上げます。同門の先生におかれましても、ご支援いただき大変ありがとうございました。
特別講演ですが、大阪大学整形外科教授岡田誠司先生と九州大学整形外科教授であり、現在日本整形外科学会理事長をお務めの中島康晴先生にご講演いただきました。
岡田先生からは、整形外科研究の新時代と題して、現在各界で話題となっているAI技術について多くの知見をお話しいただきました。
内容といたしましては、医療におけるAI技術の必要性、ゲノム医療、画像診断支援、医薬品開発などに関してAIとの連携をお話しいただき、実臨床に関しては、骨折診断や半月板損傷自動判別、神経鞘腫と髄膜腫鑑別、カスタムガイド手術ガイドおよびプレートの開発など、まさに整形外科診療の新時代の幕開けを感じることができました。また、AIを用いた痛みの客観的評価として、痛みを「みえる」化する取り組みであるパッチ電極を使用したウェアラブル脳波計の開発+AI解析など、間違いなく今後我々整形外科の診療に導入される技術なども提示いただきました。
続いて、中島先生からは、股関節外科の進歩と課題と題しまして、先天性股関節脱臼人工股関節置換術、寛骨臼形成不全への骨切り術、大腿骨頭壊死症の病態と関節温存、CAOSの進歩、股関節鏡視下手術の進歩、新しい疾患概念の確立、FAI、軟骨下脆弱性骨折などに関してご講演いただきました。
股関節外科の成り立ちを振り返りながら、股関節形成術やTHAの歴史、セメントレスカップの変遷などを系統立って講演いただき、世界、そして我が国の股関節外科の発展を肌で感じることができました。また、新技術に関してもTHA術前後の定量的評価を行うためにインプラント内にセンサーを入れる方法などを提示いただき、大変興味深い内容でした。
中島先生が行われた膨大な手術からの20年の関節生存率なども提示いただき、術前病期の影響などを考慮すべしなど、若い整形外科医で股関節外科を目指す医師へのメッセージとしては大変メッセージ性の強い内容であったと思っております。
最後になりますが、今回は急遽Web講演とのハイブリッド開催となりましたが、大きなトラブルもなく会が終了となり、共催メーカーである第一三共株式会社の方にもこの場を借りて御礼申し上げます。
以上を持ちまして、第536回岩手整形災害外科懇談会のご報告とさせていただきます。今後とも、ご指導、ご鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

山部大輔先生
会場の様子
岡田誠司先生
中島康晴先生

JOSKAS-JOSSM 2022

岩手医科大学整形外科 金子洋樹原稿作成日 2022年7月8日

2022年6月16~18日にかけて、札幌コンベンションセンター・札幌市産業振興センターでJOSKAS-JOSSMが開催されました。
昨今はコロナ事情も落ち着きを見せ始め、私自身は初の現地発表を行うことができました。学会の空気感を楽しむとともに、発表前の緊張感を経験しました。
本学会は例年と違い、勉強の場である他に、Freddie H.Fu先生を偲ぶ会としても開催されました。といっても、お恥ずかしいことに私自身は学会に参加するまでFu先生を存じ上げず、発表の合間に映るFu先生を開催大学の北海道大学の先生と勘違いしておりました。メモリアルシンポジウムに参加し、初めてFu先生がどれほど膝に対して重要な先生であるかを知りました。シンポジウムには本学より田島吾郎先生も演者の一人としてご参加し、「We Lost the Great Landmark, Where Should We Go?」のご講演をしていただきました。一般的な膝の解剖の話だけではなく、Fu先生が新生児・動物・原人までと幅広く膝に対して解剖の研究をしていたと聞き、会場では度肝をぬかされましたが、それほどの興味がなければ現在の膝に対する治療形態は築かれなかったと考えると、Fu先生が我々に残して頂いた偉業に感謝をするばかりでした。また、自分自身もより一層の興味を持って日常診療に挑む必要があると実感しました。
コロナ禍でも現地開催を可能としていただいた北海道大学の先生方、共催の多くの会社の方々には誠に感謝を申しあげます。

ポスター発表(金子洋樹先生)
ポスター会場
一般口演
メモリアルシンポジウム

第18回岩手骨折治療研究会・第535回岩手整形災害外科懇談会

岩手県立江刺病院 宗像 秀樹(岩手骨折治療研究会代表幹事)原稿作成日 2022年6月6日

令和4年6月4日 ホテルロイヤル盛岡において 第535回岩手整形災害外科懇談会と共催されました。 コロナ下の開催のため、テーブル配置に工夫し人数制限を行いながらほぼ定員一杯の33名の多くの先生方に参加していただきました。
一般演題と研修医教育講演の座長を、盛岡市立病院 菊地修平先生に勤めていただきました。
一般演題は一席目に県立胆沢病院の野々口マリア先生から『小児外傷性骨端線損傷・閉鎖に対し骨部分切除と脂肪移植を行った一例』が発表されました。
二席目に県立大船渡病院 田島育郎先生から『Delbet-CoLonna分類Ⅲ型の小児大腿骨頸部骨折に対するLCP Pediatric hip plateの使用経験』が発表されました。いずれの症例も、珍しい症例でしたが、現状の成績は素晴らしいものでした。
次に研修医教育講演は、予定ではインプラント周囲骨折の治療を予定していましたが、諸般の事情で講演が間に合わず、救急・災害・総合医学講座 救急医学分野 特任講師 菅重典先生に講演交代していただき、 『外傷における頸椎固定法 -当センターでの症例と工夫-』 の演題名で岩手県高次救急センターでは年間 手術が必要な頸部外傷が30数例あり、安全で強固な固定力が得られ若手医師に教えやすい後方固定方法を行っている。と報告していただきました。
招待講演は、千葉こどもとおとなの整形外科 院長 西須 孝先生をお招きし、 『小児の骨折治療で大切なこと -私の経験から-』というお話をしていただきました。
小児の骨折は後遺症を見据えたICが必要だ。過成長 remodeling off asymmetrical growthがおこる。治療したときにそのような可能性に言及しなければ、後出しじゃんけんのようになり、信頼関係が築けないとお話しされました。
骨折部位によってremodelingが起こりやすい部位がある。ソルターハリス分類を考慮しながら治療するが、成長軟骨を傷つけperforation bar から 骨性架橋を起こしてしまうⅠ型もある。ソルターハリス分類を信じすぎないようにと示されました。
骨性架橋の手術に対して、骨髄鏡を用いて骨切除術の症例提示がありました。10歳以下が成績よく、患者は術後痛み少なく、再手術も嫌がられない手術ですと研修によこしてくださいと温かい言葉をいただきました。そのほかモンテジア骨折を見逃さない、内上顆骨折(内顆骨折軟骨部分が大きく見逃す)、小児外傷性股関節脱臼は自然整復されることがあり関節内に骨片をはさみこんでしまうことがある、大腿骨骨端線損傷の荷重開始時期の決定はMRIで骨端核の血流再開を確認してから、新生児の上腕近位の骨端線損傷 360度転位の可能性を念頭におくレントゲンで見えない軟骨骨折等々 多くの症例をご提示され、豊富な経験をお話しいただきました。
西須先生大変ありがとうございました。
講演後西須先生に質問したい先生が多く、早く弁当でなく立食パーティが開かれるようになればいいと思いました。
最後に講演くださった先生方に感謝し また、御参加を賜りました皆様に深謝いたします。

菅重典先生1
菅重典先生2
西須孝先生3
西須孝先生4