学会・研究会の参加報告

第536回岩手整形災害外科懇談会に参加して

岩手医科大学整形外科 山部大輔原稿作成日 2022年8月9日

去る令和4年7月30日に盛岡グランドホテルにて、第536回岩手整形災害外科懇談会が開催されました。
本会においては、まず私の方から米国Emory大学への留学に関してご報告させていただきました。Emory大学での貴重な経験や、海外生活での体験談をご紹介させていただきました。研究内容に関しても、一部ではありますがデータを提示させていただきました。今後当講座において海外留学を目指す若い医師への起爆剤になってくれたらと考えております。また、この場を借りて留学をご許可いただいた土井田教授、村上教授に改めて御礼申し上げます。同門の先生におかれましても、ご支援いただき大変ありがとうございました。
特別講演ですが、大阪大学整形外科教授岡田誠司先生と九州大学整形外科教授であり、現在日本整形外科学会理事長をお務めの中島康晴先生にご講演いただきました。
岡田先生からは、整形外科研究の新時代と題して、現在各界で話題となっているAI技術について多くの知見をお話しいただきました。
内容といたしましては、医療におけるAI技術の必要性、ゲノム医療、画像診断支援、医薬品開発などに関してAIとの連携をお話しいただき、実臨床に関しては、骨折診断や半月板損傷自動判別、神経鞘腫と髄膜腫鑑別、カスタムガイド手術ガイドおよびプレートの開発など、まさに整形外科診療の新時代の幕開けを感じることができました。また、AIを用いた痛みの客観的評価として、痛みを「みえる」化する取り組みであるパッチ電極を使用したウェアラブル脳波計の開発+AI解析など、間違いなく今後我々整形外科の診療に導入される技術なども提示いただきました。
続いて、中島先生からは、股関節外科の進歩と課題と題しまして、先天性股関節脱臼人工股関節置換術、寛骨臼形成不全への骨切り術、大腿骨頭壊死症の病態と関節温存、CAOSの進歩、股関節鏡視下手術の進歩、新しい疾患概念の確立、FAI、軟骨下脆弱性骨折などに関してご講演いただきました。
股関節外科の成り立ちを振り返りながら、股関節形成術やTHAの歴史、セメントレスカップの変遷などを系統立って講演いただき、世界、そして我が国の股関節外科の発展を肌で感じることができました。また、新技術に関してもTHA術前後の定量的評価を行うためにインプラント内にセンサーを入れる方法などを提示いただき、大変興味深い内容でした。
中島先生が行われた膨大な手術からの20年の関節生存率なども提示いただき、術前病期の影響などを考慮すべしなど、若い整形外科医で股関節外科を目指す医師へのメッセージとしては大変メッセージ性の強い内容であったと思っております。
最後になりますが、今回は急遽Web講演とのハイブリッド開催となりましたが、大きなトラブルもなく会が終了となり、共催メーカーである第一三共株式会社の方にもこの場を借りて御礼申し上げます。
以上を持ちまして、第536回岩手整形災害外科懇談会のご報告とさせていただきます。今後とも、ご指導、ご鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

山部大輔先生
会場の様子
岡田誠司先生
中島康晴先生

JOSKAS-JOSSM 2022

岩手医科大学整形外科 金子洋樹原稿作成日 2022年7月8日

2022年6月16~18日にかけて、札幌コンベンションセンター・札幌市産業振興センターでJOSKAS-JOSSMが開催されました。
昨今はコロナ事情も落ち着きを見せ始め、私自身は初の現地発表を行うことができました。学会の空気感を楽しむとともに、発表前の緊張感を経験しました。
本学会は例年と違い、勉強の場である他に、Freddie H.Fu先生を偲ぶ会としても開催されました。といっても、お恥ずかしいことに私自身は学会に参加するまでFu先生を存じ上げず、発表の合間に映るFu先生を開催大学の北海道大学の先生と勘違いしておりました。メモリアルシンポジウムに参加し、初めてFu先生がどれほど膝に対して重要な先生であるかを知りました。シンポジウムには本学より田島吾郎先生も演者の一人としてご参加し、「We Lost the Great Landmark, Where Should We Go?」のご講演をしていただきました。一般的な膝の解剖の話だけではなく、Fu先生が新生児・動物・原人までと幅広く膝に対して解剖の研究をしていたと聞き、会場では度肝をぬかされましたが、それほどの興味がなければ現在の膝に対する治療形態は築かれなかったと考えると、Fu先生が我々に残して頂いた偉業に感謝をするばかりでした。また、自分自身もより一層の興味を持って日常診療に挑む必要があると実感しました。
コロナ禍でも現地開催を可能としていただいた北海道大学の先生方、共催の多くの会社の方々には誠に感謝を申しあげます。

ポスター発表(金子洋樹先生)
ポスター会場
一般口演
メモリアルシンポジウム

第18回岩手骨折治療研究会・第535回岩手整形災害外科懇談会

岩手県立江刺病院 宗像 秀樹(岩手骨折治療研究会代表幹事)原稿作成日 2022年6月6日

令和4年6月4日 ホテルロイヤル盛岡において 第535回岩手整形災害外科懇談会と共催されました。 コロナ下の開催のため、テーブル配置に工夫し人数制限を行いながらほぼ定員一杯の33名の多くの先生方に参加していただきました。
一般演題と研修医教育講演の座長を、盛岡市立病院 菊地修平先生に勤めていただきました。
一般演題は一席目に県立胆沢病院の野々口マリア先生から『小児外傷性骨端線損傷・閉鎖に対し骨部分切除と脂肪移植を行った一例』が発表されました。
二席目に県立大船渡病院 田島育郎先生から『Delbet-CoLonna分類Ⅲ型の小児大腿骨頸部骨折に対するLCP Pediatric hip plateの使用経験』が発表されました。いずれの症例も、珍しい症例でしたが、現状の成績は素晴らしいものでした。
次に研修医教育講演は、予定ではインプラント周囲骨折の治療を予定していましたが、諸般の事情で講演が間に合わず、救急・災害・総合医学講座 救急医学分野 特任講師 菅重典先生に講演交代していただき、 『外傷における頸椎固定法 -当センターでの症例と工夫-』 の演題名で岩手県高次救急センターでは年間 手術が必要な頸部外傷が30数例あり、安全で強固な固定力が得られ若手医師に教えやすい後方固定方法を行っている。と報告していただきました。
招待講演は、千葉こどもとおとなの整形外科 院長 西須 孝先生をお招きし、 『小児の骨折治療で大切なこと -私の経験から-』というお話をしていただきました。
小児の骨折は後遺症を見据えたICが必要だ。過成長 remodeling off asymmetrical growthがおこる。治療したときにそのような可能性に言及しなければ、後出しじゃんけんのようになり、信頼関係が築けないとお話しされました。
骨折部位によってremodelingが起こりやすい部位がある。ソルターハリス分類を考慮しながら治療するが、成長軟骨を傷つけperforation bar から 骨性架橋を起こしてしまうⅠ型もある。ソルターハリス分類を信じすぎないようにと示されました。
骨性架橋の手術に対して、骨髄鏡を用いて骨切除術の症例提示がありました。10歳以下が成績よく、患者は術後痛み少なく、再手術も嫌がられない手術ですと研修によこしてくださいと温かい言葉をいただきました。そのほかモンテジア骨折を見逃さない、内上顆骨折(内顆骨折軟骨部分が大きく見逃す)、小児外傷性股関節脱臼は自然整復されることがあり関節内に骨片をはさみこんでしまうことがある、大腿骨骨端線損傷の荷重開始時期の決定はMRIで骨端核の血流再開を確認してから、新生児の上腕近位の骨端線損傷 360度転位の可能性を念頭におくレントゲンで見えない軟骨骨折等々 多くの症例をご提示され、豊富な経験をお話しいただきました。
西須先生大変ありがとうございました。
講演後西須先生に質問したい先生が多く、早く弁当でなく立食パーティが開かれるようになればいいと思いました。
最後に講演くださった先生方に感謝し また、御参加を賜りました皆様に深謝いたします。

菅重典先生1
菅重典先生2
西須孝先生3
西須孝先生4

第70回東日本整形災害外科学会学術集会を開催して
「予測不能なコロナ禍での学会開催の難しさ」

東日本整形災害外科学会主催事務局 田島 吾郎

2021年9月17日、18日、土井田稔会長主催のハイブリッド形式で行われた第70回東日本整形災害外科学会学術集会は、大きなトラブルもなく無事成功裏に終了致しました。まずは本学会開催、運営にあたり、物心両面にわたりご協力いただいた折肱会の先生方には心より厚く御礼申し上げます。
学会準備はコロナ禍前から始まりました。本学会は例年、比較的多くの演題が集まるにもかかわらず実際の会場には聴衆は少なく、総合学会であるがゆえ今ひとつ盛り上がりに欠ける学会でした。そこで学会長の土井田先生は今まで以上に本学会を盛り上げるため「若手整形外科医の育成」ということにフォーカスした企画を中心に、シンポジウムや主題はできるだけシンプルかつ実診療上のトピックをテーマとし、多くの演者や聴衆に興味を持って参加していただくようにしました。また文化講演、特別講演、教育研修講演などは、その道のスペシャリストの先生方にご講演いただき、参加した若手整形外科医へ、より良い臨床研究を行う教育的な側面を充分にサポートできるような構成にしました。さらに若手優秀演題アウォード、若手ケースアウォード、ケースシリーズアウォードなど若手医師が参加できる様々なawardを設け、恒例のスポーツ大会もフットサル、3×3バスケットボール、駅伝など全ての種目を行い、全員懇親会では大学医局対抗のわんこそば大会なども企画しました。個人だけでなく各大学の医局としての団体参加も促すことで、演題登録数だけでなく学会そのものを盛り上げるよう様々の工夫を凝らし、あくまで現地開催で行うことを前提に鋭意準備を進めていました。
しかし2020年から世界中を震撼させていた新型コロナウイルス感染症の影響で、国内外で開催される学会の現地開催は殆どが中止、またはWeb上での代替開催を余儀なくされていました。2020年の日本整形外科学会、東日本整形災害外科学会は完全Webオンライン学会となり、2021年の日本整形外科学会はWebオンライン学会+現地開催の形式で行われましたが、現地開催はあくまで無観客でのオンデマンド配信の収録が目的として行われました。しかしこのコロナ禍で、中小規模の学会は徐々にZOOM等のミーティングアプリを用いて、リアルタイムでのライブ配信やディスカッションが可能な形式での開催が行われるようになり、これに現地開催を組み合わせた、いわゆるハイブリッド形式での開催も行われるようになりました。本学会の準備も当初考えていた現地開催だけでなく、Web形式やハイブリッド形式での開催も視野に入れる必要が出てきました。
現在でもコロナウイルスは波状攻撃のように、新たな変異株が現れる度に急激な流行と沈静化を繰り返していますが、幸い2021年当初は岩手県では大きな流行の波はしのいでおり、さらに本邦でも待望のワクチン接種が開始されました。演題募集が始まった3月頃は全国的に第3波が収束していたことから、当初の予定通り現地開催を基本とする方針となりました。我々事務局でも演題応募がどの位あるか全く予想できませんでしたが、最終的に505題(文化講演1、特別講演2、教育研修講演9、ランチョン11、イブニング3、主題13、シンポジウム127、若手優秀演題アウォードセッション32、若手ケースアウォードセッション28、ケースシリーズアウォードセッション16、一般演題258、学術奨励賞受賞者講演5)と本学会過去最多の演題登録数で、いわて県民情報交流センターの8会場(当初予定)をフルに活用しての開催予定としました。これは土井田教授が示された様々な新しい企画や、参加される学会員がいかに現地開催を熱望していたかによるものとだと思います。この時点では当初の予定通り、現地開催を原則として通常の学会準備とスポーツ大会などの会場予約などを並行して進めていました。
ところが7月からアルファ株から置き換わったデルタ株が猛威を振るい、全国で急速かつ大規模な感染拡大が生じ始め、ニュースでは連日陽性者数増加が報道され、東京、大阪などの大都市圏を中心にまん延防止等重点措置や緊急事態宣言が発出されました。岩手県でも、8月下旬にまん延防止の適用を政府に要請、結果対象からは外れましたが、ついに県独自の緊急事態宣言を発出するに至りました。そのため当初の計画は変更せざる得なくなり、最終的に開催形式が決定したのは、学会開催まで1ヶ月半を切った8月下旬になりました。開催形式はハイブリッド形式とし、座長演者共現地もしくはWebで登壇していただくことになりました。また現地の聴衆は会場へ入場可能としましたが、Webでの配信はライブではなくオンデマンド(期間内に希望に応じ動画配信を視聴可能な形式)形式とし、演題数が多かった一般口演は残念ながら全て事前収録によるオンデマンド形式のみとしました。それに伴い会場は8会場から6会場に縮小されました。また会長招宴、全体懇親会は中止とし、スポーツ大会は最後まで開催の可能性を探りましたが、当初参加を希望していた大学医局へのアンケートで、殆どの大学で参加が不可能になったことからスポーツ大会も中止することにしました。
学会開催の数日前からいよいよ会場の準備が始まり、誰も経験したことがないハイブリッド形式での比較的規模の大きな学会開催に向け、東京から多くのWeb専属スタッフと驚くような大量のIT機材が搬入されてきました。医局からもPCに詳しいスタッフ数名をWeb担当に固定して、残りの医局スタッフも総動員で受付から会場の進行係まで配置しましたが、会場が多いため医局スタッフだけでは全てがカバーできず、2日間の会期中関連病院から延べ14名の手伝いをいただきました。
実際に学会が始まると我々が予想していたより多くの参加者が現地に来場されました。最終的には現地、WEB登録含む参加登録約が770名(うち、現地参加者233 名)、オンデマンド全体の視聴数が1,822回(配信期間中視聴数1,255回、講演受講数567回)と一般的に参加登録やWebでの視聴者が少ないハイブリッド形式としては、比較的多くの会員に参加していただけたと思っています。しかし運営の方はハイブリッド形式ということで事前の予想がつかないことも多く、期間中も現地とWeb での頻回で臨機応変な接続や切り替で全く息が抜けない進行でしたが、業者スタッフと運営側スタッフの協力で、全てのセッションを大きなトラブルなく打ち合わせ通りに順調に終了することができました。Web関係は全て業者の方々の力をお借りし、一般口演がオンデマンドになり2会場が閉鎖され、スポーツ大会も中止になったにも関わらず、我々医局スタッフのマンパワー的にはギリギリの状態で、会場や時間によっては進行からアナウンスまで一人何役もこなしてもらう場面もありました。もしも本学会がタイミング良くコロナが沈静化している時期の開催で、スポーツ大会なども予定通りに全て開催されていたら、正直かなり大変だったと思います。
最後になりますが、このような全く予測不能なコロナ禍での本学会が成功裏に開催できたのも、特に学会事務局の莫大な量の作業を正確かつ確実に処理していただいた担当秘書の野中さん、コロナの状況で開催方法が二転三転するなか臨機応変に誠実に対応していただいた新和企画の新井田さんのご尽力によるものと心から感謝しております。また講演やセミナーのスポンサードや様々な面でお手伝いいただいた各企業の皆様、準備から携わっていた学会事務局の皆様、受付や単位取得など事務的処理などをスピーディーにテキパキとこなしていただいた医局秘書の佐藤さん、平山さんにも併せてお礼申し上げます。本当に全く予測不能な新型コロナウイルスに振り回された第70 回東日本整形災害外科学会学術集会でしたが、今回のような現地に行かなくても学会に参加できる新しい形式での学会開催は、コロナ後においても学会の新しいスタンダードになっていくと思います。医局や関連病院の若手スタッフにはこのような状況での学会開催という貴重な経験を活かし、将来是非さらに大きな学会を再び盛岡で開催できるよう、臨床や研究に励み、それを大いに発信するよう期待しています。

入口看板
記念撮影
受付の様子
講演の様子(運営側から)
会場の様子1
会場の様子2
シンポジウムの様子
デモンストレーションの様子

第534回岩手整形災害外科懇談会

岩手医科大学整形外科 大竹伸平原稿作成日 2022年4月25日

令和4年4月16日、ホテルメトロポリタン NEW WINGにて第534回岩手整形災害外科懇談会が開催されました。
未だ収束しないCOVID-19の影響で愛知医大、高橋先生はWeb講演を余儀なくされましたが、松原メイフラワー病院、松原先生は兵庫県より来盛いただきました。
特別講演Ⅰは愛知医科大学整形外科教授、高橋伸典先生より「血友病性関節症診療の現状と課題」のご講演をいただきました。疾患自体が珍しく、関節症から発症した際には整形外科医には診断にも苦慮する疾患であり、また手術の際は出血コントロールなど周術期管理が重要となりますが、ご自身の症例を提示してevidenceを踏まえて、治療法など分かりやすくお示しいただきました。
特別講演Ⅱは松原メイフラワー病院院長、松原司先生より「RA治療の温故知新」のご講演をいただきました。人間の歴史から始まりR Aの歴史、治療変遷について講演が進み、薬物治療を中心に現在のRA治療についてご自身で研究されている遺伝子解析と薬効との関連をお示しいただきました。
石割桜が開花し、春の訪れを感じるなかでの開催でしたが、未だコロナウイルス感染の動向を伺いながらの開催状況が続いております。ご講演下さいました先生方、また感染拡大防止に留意頂きながらご参加下さいました皆様、そして共催の中外製薬株式会社様に感謝申し上げます。

高橋 伸典先生
質疑応答の様子
松原 司先生
大竹 伸平助教