特 徴

当院における股関節疾患と小児整形外科疾患の診療

岩手医科大学整形外科学教室では、股関節疾患と小児整形外科疾患に対して、常勤医2人、非常勤医2人で診療を行っています。大竹伸平(助教)は関節リウマチと成人股関節疾患を、髙橋裕孝(助教)は成人と小児の股関節疾患を、田島育郎(非常勤講師)と冨澤洋子(非常勤医師)は小児整形外科疾患全般を担当しています。

一般外来は毎週金曜日に内丸メディカルセンターで行っております。学会等で担当医師が不在のこともありますので、受診を希望される際には事前に電話等でご確認いただけると幸いです。また、矢巾にあります大学病院では入院と手術に特化して対応しており、一般外来は行っておりませんのでご注意ください。

主な疾患・治療法について

最も多く取り扱っている股関節疾患は「変形性股関節症」です。変形した関節を人工の関節に取り換える人工股関節置換術に関しては、できる限り最小侵襲手術にこだわって行っております。すべての患者さんに導入できるわけではありませんが、手術に際して筋肉や靭帯の切離を最小限にとどめることで、術後の回復が早く、術後合併症のひとつである関節脱臼も減少させることができます。人工股関節置換術はほぼ毎週行っておりますが、手術希望の患者さんも多いため手術待機期間が長くなっております。手術を希望される方は、時間に余裕をもってご相談いただけると幸いです。

50歳未満で関節変形が少ない「臼蓋形成不全症」には寛骨臼移動術(回転骨切り術)を行っています。痛みを改善させる目的の他に、最終的な手術である人工股関節置換術に至らないか、至ってもそれまでの期間を長くするのが目的です。手術侵襲も大きく、回復まで長い時間を要する手術ですので、仕事や今後のライフプランにまで踏み込んだ相談が必要となります。

県内の関連病院から相談されることが多い疾患は「人工股関節のゆるみ」です。原因としては人工関節の摩耗や腐食が多いのですが、細菌感染を合併していることも少なくないため治療は非常に難渋します。もともとの母床骨はなくなっていることが多く、人工関節の抜去には骨を粉砕しなければならないことも多いため、当院には移植用の同種骨をストックしています。同種骨移植とは、他の患者さんの人工関節置換術の際に余った骨を適正に保存しておき、適正な処理をして必要な患者さんに移植することです。同種骨移植を行うことで、広い範囲で欠損した骨を再建でき、人工股関節再置換術が可能となります。人工股関節再置換術は専門性の高い知識と技術が必要となります。初回手術を行った施設の主治医と良く相談の上、主治医からの情報提供をしっかりしていただいた上での受診をお願いします。

小児整形外科疾患として多いのは、発育性股関節形成不全症(先天性股関節脱臼)や内反足、大腿骨頭すべり症、ペルテス病などです。
「発育性股関節形成不全症(先天性股関節脱臼)」は、股関節の動きが固いことを乳児検診で指摘されて当院へ紹介となることが多くなっております。早期発見、早期治療が基本と考えておりますが、特に乳児期は骨が形成過程のためレントゲンによる脱臼の診断が困難なことがあり、当院では超音波を用いた診察を行っております。超音波を用いた特殊な計測を行うことで、脱臼の程度だけでなく、治療や予後の予測が可能になります。基本的には、外来において装具を用いた治療を開始することが多いのですが、装具治療でうまくいかない場合や難治例には、患児の年齢にあわせて適切な手術治療を選択して行っております。
生下時よりあきらかな足の変形に「内反足」があります。可能な限り早期に、ギプス治療を開始し、変形の矯正度合いや障害の程度に合わせて手術治療を追加しています。
小学校から中学校のお子さんに多いのが大腿骨頭すべり症やペルテス病です。どちらも股関節痛を主訴とせず、太ももや膝が痛いと訴えることも多いので注意が必要です。「ペルテス病」は原因不明で生じた大腿骨近位骨端核の阻血壊死ですが、装具を用いた保存治療を基本として、それで不十分な症例には、大腿骨や骨盤の骨切り術導入を検討します。「大腿骨頭すべり症」はすべりの抑制を目的とした手術を主体として、中等度から高度のすべり症には大腿骨の骨切り術も行っております。将来的な障害ができるだけ少ないように、基本的に発見した患者さんすべてに手術治療を行っております。
その他、様々な疾患や障害を原因として左右の下肢の長さに違いを生じる、「脚長差」にも手術治療を行っております。患児の年齢や脚長差の程度にあわせて、成長抑制術か脚延長術かを選択しています。

以上の治療方針を共有する一方で、診療担当4人はそれぞれの専門分野を尊重し、高めあいながら診療にあたっております。可能な限り最善の治療を提供できるよう努めておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

所属医師