特 徴

私ども岩手医科大学整形外科脊椎グループでは椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変性すべり症といった比較的頻度の高い脊椎変性疾患をはじめとして、脊椎外傷、脊椎感染といった緊急対応が必要な疾患、さらに高度脊柱変形、脊椎奇形、脊椎・脊髄腫瘍、重篤な全身合併症を有する脊椎疾患など、他の医療施設では対応困難な疾患まで幅広く診療を行っています。これらの様々な脊椎疾患に対し、薬物治療や運動療法などの保存療法から手術療法まで幅広い治療を行い、患者様の生活の質(Quality of life:QOL)の維持・改善を図っています。
特に悪性腫瘍の脊椎転移に対しては、診療科の垣根を越えた治療が行えるよう大学内で骨転移カンファランスを設置し、脊椎転移の早期発見および患者様それぞれの全身状態に応じた適切な治療を提供できるように専門チームを組んで対応しています。また脊椎手術における最新の術中ナビゲーションシステムや脊髄モニタリングシステムの導入および体への負担が少ない(低侵襲)手術手技の導入など、良質な医療を提供するための取り組みを積極的に行っており、安心して治療をお任せ頂けるよう日々の診療にあたっています。

術中ナビゲーションシステム

手術における画像支援システムであり、実際の術野の位置情報を座標化することにより、スクリュー刺入など手術手技の安全性を高めます。

主な疾患・治療法について

側弯症

背骨がねじれを伴いながら左右への弯曲をきたす疾患です。そのうちの80%は明らかな原因がなく思春期に発生することが多い特発性側弯症であり、そのほか脊椎奇形が原因となる先天性側弯症、脳性麻痺、筋ジストロフィーなどが原因となる神経筋原性側弯症などによる症候性側弯症に分類されます。岩手県では多くの市町村でモアレ法を用いた小中学生の脊柱学校検診を行い早期発見に努めています。本疾患では背部変形による美容的問題のほか、側弯変形が重度になると肺機能の低下、労作時の息切れ、腰痛や背部痛が発生することがあります。小児期から思春期に発症した側弯症は、体の成長とともに進行することが多いため側弯の程度に応じてコルセットや体幹ギプスによる保存治療を行います。しかし保存治療を行っても一定以上の変形進行が見られる際には、さらなる側弯進行を防止するため手術治療を行います。年齢、病態に応じて適切な手術方法(前方法、後方法など)を選択します。

特発性側弯症の手術療法
(脊椎後方矯正固定術)

幼少期に発症する側弯症 (early onset scoliosis) の手術療法

成長曲線

Growing Rod法

半年に1回手術を行いロッドを伸延させることにより、成長を確保しながら変形を矯正する手術法です。

成人脊柱変形

近年、加齢に伴う脊柱の変性や骨粗鬆症による椎体圧潰などを基盤とする成人脊柱変形が増加しています。今後の高齢者人口のさらなる増加に伴い、本疾患に対する治療の重要性がさらに高まることが予想されています。本疾患はときに重度の腰痛、下肢症状や胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease: GERD)などの原因となり、QOLを著しく低下させます。薬剤やコルセットによる保存療法を行いますが、症状が進行したり、立位や歩行が困難となるなど日常生活動作が強く障害される場合には、状態に応じて手術治療(脊椎インストゥルメンテーションを用いた矯正固定術)を行うことがあります。本疾患に対する従来の手術治療は良好な矯正が得られるものの体への負担が大きく、合併症が多いご高齢の患者様では手術を行うこと自体が難しい場合がありました。しかし近年、低侵襲手術手技が大きく発展し、従来手術行うのが難しかった患者様でも、比較的安全に手術を施行する事ができるようになってきました。我々は成人脊柱変形に対し積極的に低侵襲手術を行っており、患者様のQOLの改善および早期の社会復帰を目指しています。

成人脊柱変形に対する
前後合併矯正固定術

側方から背骨の間にある間板椎の部分に移植骨を充填した箱(ケージ)を挿入し変形を矯正(前方固定)、後方からさらに内固定金属を用いて矯正します(後方固定)。可能な限り低侵襲手技を用いることにより、出血量や合併症を低減させる事が可能となります。

所属医師

外来案内

脊椎専門外来
(内丸メディカルセンター)
月曜日(土井田 稔、村上 秀樹、遠藤 寛興)
水曜日(土井田 稔、村上 秀樹、遠藤 寛興、千葉 佑介、及川 諒介)
手術治療(岩手医科大学附属病院) 火曜日、金曜日